鹿児島県 笠沙町  「ふれあい民泊 &定置網漁」 
 
網元 山元恵三郎さん宅

     『お泊まり&定置網漁同乗記』

2003年5月、吹上町、金峰町、加世田市、大浦町、笠沙町、坊津町、
枕崎市の2市5町の広域エリアでの関係者が結束して、2004年11月に
埼玉県立青陵高校320名の「民泊+漁業・農作業体験」の受け入れをする
ことが決まり、その体制作りが始まった。


上記2市5町の内、加世田市,笠沙町,大浦町,坊津町の1市3町と川辺町
(受入先には未加入)との市町村合併がほぼ決まり、合併の準備と平行して、
生粋の笠沙町民であり、笠沙町役場の橋口企画課長を先頭に、各市町の担当
者と、この受入プログラムの推進役を担っているNPO法人エコ・リンク・
アソシェーション代表理事下津さんが中心となり、鹿児島県地域振興係の担
当者も参加して、受入に当たっての協議会が開催された。


笠沙町では鯨・イルカウォッチング、定置網漁の運営している漁師さん12
人と笠沙恵比寿が事務局となり、釣り、クルージング、シーカヤックなど海
の体験プログラムをより充実させるための野間池体験観光協会が結成され、
受入体制の基盤はできていた。


6月には東京12CH系列で、有名タレントが田舎に行って、いきなり当日、
地元の家に宿泊をお願いする「いい旅・夢気分 田舎に泊まろう」の取材で
勝野洋さんが大浦町へ。

何軒かの家で泊まりを断れた後に上野広良、ソデさんご夫妻の家にたどりつ
いた。


お泊まり交渉した結果、即、快諾。
「あまり、おもてなしができないのに、申し訳ない」といいながら、すぐに
裏の畑に野菜を採りに行き、夕食の準備を始めた。
素朴で、ひたむきなおもてなしをされるほほえましい、夜から朝にかけての
光景が放映された。

見ている私たちにも、上野ご夫妻の温もりがジーンと伝わってくる。

上野さんご夫妻のおもてなしぶりから、大人数の生徒さんがこの南薩地区のど
の家庭に宿泊したとしても、忘れられない思い出作りができるだろうと実感し
た視聴者は多いはずだ。


こんなすばらしい、南薩摩の田舎に泊まってみたいという思いは募っていった。

8月31日、笠沙町で、代々定置網の網元であり、笠沙町の元観光協会長をさ
れていた、ダンディで、チョッピリおしゃれでそして闊達な山元恵三郎
(77)
さん宅に、無理無理にお願いして、泊めていただけることになった。

鹿児島県西端、青々とおだやかな野間池港をはさんで笠沙恵比寿が臨める山元宅。
3代に渡り網元としての歴史と風格を兼ね備えた母屋は、几帳面な山元さんの性
格そのものが表れた、きちっと整頓された幾つもの部屋と何人もの漁師さん達の
食事の賄いができるであろう広い台所。

子浦港に面した前庭には芝生が緑鮮やかに敷き詰められ、ハイビスカスの花が咲
き、野鳥が集う。


夕食は満天の星のもと、奥様がわざわざ用意された庭先のテーブルに、可愛らし
い幾つものキャンドルボックスやランプ、港の灯りに囲まれながら、橋口課長と
ご相伴に預かる。

潮風に吹かれ、笠沙の海で獲れた珍味の貝(地元ではタカジと呼んでいる)の煮付け、
ブリのあら煮、等々、まさに、地元の海の幸づくしで満腹に。


窓越しに港の明かりが眺めながらお風呂をいただき、11時30分に就寝。

9月1日、4時起床。
さあこれから、息子さんと漁師さんの船に乗せてもらい定置網漁に出発だ。
夜が明けきれない漁港の船着き場から、息子さんの手を借りながら手探り状態で
乗船。


30分もしないうちに定置網を仕掛けてある漁場に着く。
おおきな定置網だ。

船からの明かりが一斉に網に向けられ、網の引き上げが始める。
海面はまだ暗い、船からの明かりだけがたよりだ。
海面に目を凝らすと、一番最初に目には入ったのが体長2メートル位のバショウ
カジキだ。

先ず、これを船に3人かがりで引き上げる。この時期にはよくかかるとのこと。

大きな声が船上に飛び交い、漁師さん達の網の引き上げが始まった。
舳先と艫との呼吸を合わせて網が絞られる。
夜明けの光が微かに見え始める頃、魚が網の中で泳ぎ回るのが見えてきた。
定置網に結びつけられた小舟に数人の漁師さんが飛び移り、両方から追い込む。
高齢の漁師さんの動きも俊敏で、プロ魂を見せつけられした。
魚が徐々に絞られた網に集められ、次々とたも網で掬われ、魚が跳ねる。

1時間くらいか、闘いは終わった。


魚の種類ごとにかごに分けられる。
シイラ、シマアジ、ミズイカ、ネルコ(カンパチの子供)、ウマヅラ、イサキ、
等々。

イサキ、シマアジなどは鮮度を保つため、すぐ船上で、活き締めにする。
大潮の影響で本日の漁獲は低調だとのこと。

港に帰る頃には、西日本の遅い夜明けとなり、やわらか日差しが寝不足の目には
まぶしい。

港では山元さんの奥様が出迎え、魚の荷揚げを手際よくお手伝い。
そして、手頃な魚をかごの中から拾い上げ、自宅にお持ち帰り用とか。

水揚げかごにシイラが。
新鮮なら刺身で食べられるということで、奥様におねだりして捌いていただくこ
とになった。

5キロくらいあるシイラを袋に入れ、運ぶくらいはお手伝いは当たり前。

待ち遠しい朝食、朝から今朝上がった魚の刺身が5点盛り。
初体験のシイラの刺身は甘みがあり、さっぱりとして、美味の一語。
それぞれの刺身の味を食べ比べ、ご飯もお替わりをしてしまった。

笠沙の海、風、魚や貝の料理、定置網漁も最高でした。
何と行っても、山元さんご夫妻のてんこ盛りの温かいおもてなしのお心遣いが今
回の旅の最高のご馳走となりました。


この感動を皆様に、お届けしたい。

追記

受入市町は、04年7月現在、上記2市5町に知覧町が加わり、90軒で290
名の受入ができるようになっている。

 2004年11月末に、埼玉県川口青陵高等学校280名が8市町、90軒
の家庭に宿泊し、2日間に渡り、各家庭の人達と一緒に農林漁業体験をします。

また、12月上旬には埼玉県立三郷工業技術高等学校70名が日帰りで
1日農林漁業体験をする予約が入っています。





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